眠れぬ夜長は、本の世界へ引きこもり。

読書日記。あくまで備忘録としての記録。月曜日に更新予定です。

思春期と第三者。

今週の本 川上未映子著(2008)乳と卵.文藝春秋.

 

 

 

思春期って息が詰まる。抽象度を増した思考が可能になる時期と、2次性徴による体の変化がドッキングして、大変なことになってしまう。そんな時にふらっと現れた他者と出会うことで、息が出来たりする。

変化には、きっと期待値が潜在している。心も体も2次性徴に伴う大幅改定を終え、期待値を下回る結果であると、それはコンプレックスとしてしこりを残し続ける。

 

本書は、しこりをなんとかしようと必死な母と、大幅改定の途上にいる娘と、母の妹であり叔母の第三者の3日間を記述している。

母と子なんて、所詮他者なんだからわかり合えない。それを超越しようと本音と卵をぶつけ合う。外野からは、どう見ても愚行だけど、当事者たちの必死さが伝わってくるラストであった。